FC2ブログ

空と星と私達

≫星に願いを(QMA・ユリマラ)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

星に願いを (1/2)

七月七日。

織姫と彦星がたった年に一度だけ会えることの出来る日。その時、短冊に願いを書いて笹に吊すというおまじないがあるという。





「マラリヤなら何を願うの?」

学園内ではどういう願いをするのかという話で持ちきりになっている。ユリもその内の一人でマラリヤの願い事が気になっていた。

「…別に、特にないわね」

しかし、マラリヤは興味もなくしれっと答えるばかりである。それどころか、虫の居所が悪いのか声色に不機嫌さが隠せていない。

「え~!どうせならダメ元でお願いをしてもいいじゃん」

そんなマラリヤの様子に気づかずにユリが騒ぎたてるが、マラリヤは一向に動じない。

「…別に、今さら喜ぶようなことでもないわ」

誰にも聞こえないようにつぶやいてマラリヤは去っていく。その悲しみを帯びた表情にユリ気付いていなかった。

「………マラリヤ?」

何か悪いことしたかな?と思うもののさっぱりわからないので、ユリはそのまま見送ることしかできない。

「さてと…、何をお願いしようかな~?」

いつまでも気にしていても仕方がないと、ユリは気をとりなおして短冊に何を書こうか考えることにした。

「う~ん、いっぱいありすぎて迷うなぁ」

学園の校庭にはこの日のために、大きな笹が用意してある。もうすでに、何人かの生徒が願いを書いた短冊を吊し始めていた。まだ笹の飾り付けはまばらであるが、放課後になれば飾り付けで埋もれてしまうくらいにはなるだろう。

「……は、……リヤ…んの………でした……」

そんな中、願い事を何にするか迷っているうちにどこからともなく声が風にのってくる。途絶え途絶えながらもなんとなく引っかかって、ユリは自ずと耳を傾けていた。

(なんだろ?)

少し気になって耳をすましていると、だんだんと声が鮮明に聞こえてくる。やがて、足音混じりにはっきりと聞き取れるようになってきた。どうやら話しているのは二人らしい。

「え~!そうなんだ。知らなかったよ」
「ええ、確か今日だったと思いますわ」

ルキアとシャロンの声だ。話の内容は分からないが、何かが引っかかってユリはつい聞き耳を立ててしまう。

「それじゃ放課後一緒にって誘ってみようか?」
「いいですわね、それ」

なにやら盛り上がっているらしいが、ユリには何のことかよくわからない。
分からないなら聞いてみよう。持ち前の行動力でユリは二人に話しかけていた。

「ねえねえ、二人とも何話してたの?」

二人の会話の合間を縫って、ユリは二人に呼びかける。ルキアもシャロンもちょうどいいとばかりにぱあっと表情を明るくしてきた。

「ちょうどいいところに来ましたわ」
「今日の放課後マラリヤを誘おうと思ってたんだ。ユリも一緒にどう?」
「ん、どういうこと?」

なんのことか分からずにユリは思わず二人に聞いてしまう。問われた二人はというと、二人とも意外そうな顔をしていた。

「あらユリさん、知りませんでしたの?」
「今日、マラリヤの誕生日だよ?」
「…………………」

ユリの中で血の気がサアッと引いていくのを自覚してしまう。あからさまに青ざめていくユリの表情をルキアもシャロンもはっきりと見ていた。

「………知らなかった」

ユリは自分の体温が一気に下がるのを自覚する。あまつさえ、そうとは知らずにマラリヤの前ではしゃいでいたのだ。ユリは目を覆って、空を見上げることしかできなかった。

「マラリヤになんて謝ろう…」

ユリの中にある罪悪感が胸を締め付ける。あまりにユリが落ち込んでしまったのを見かねて、ルキアとシャロンは慌ててフォローに入っていた。

「だ、大丈夫だよ!あたしも知らなかったんだから!」
「そ、そうですわよ!マラリヤさんはあまりそういうことをお話しになる方ではありませんし」

二人の慰めの言葉にも、ユリが立ち直る気配は一向に見られない。困ったようにルキアとシャロンは顔を見合わせてしまう。
これ以上は何も出来ることがないのがとても歯痒い。友人としてはなんとも言えない複雑な気分だ。

「マラリヤ…、傷ついちゃったかな…」

そんな二人の気持ちも露知らず、ユリは気持ちも上の空のまま、ふと朝の出来事を思い出す。
ひょっとしたらマラリヤは一緒に祝ってくれる人を探していたのかもしれない。そう思ったらいてもたってもいられずに、ユリは迷わず行動に移していた。

「ルキア!シャロン!教えてくれてありがとう!あとでなんかお礼するね!」

そう言い残すと、ユリは前を向いて一気に駆け出す。相変わらずの立ち直りの早さに、取り残された二人は呆気に取られていたが、すぐに気を取り直して声に出して笑っていた。

「いきましたわね…」
「あはは、ユリらしくていいんじゃない?」
「そうですわね。なんだかマラリヤさん誘えなくなったのは残念ですけど」

ユリを見送って二人は顔を見合わせる。残念と言った割には二人とも楽しそうで穏やか微笑み合っていた。
スポンサーサイト

星に願いを (2/2)

「マラリヤどこにいるんだろう?」

空いてる時間を使って探してはいるもののなかなか見つからない。授業にも顔を出さず、不安は募っていくばかりだ。
そして放課後を迎え、気がつけば校庭にある巨大な笹の前に立っていた。

「すごい…、いろいろな願いが書いてある…」

見てみると、すでに笹には無数の短冊がぶら下げられている。ユリは自分の短冊を取り出すとまじまじと眺めていく。

『マラリヤと一緒に誕生日を祝うことができますように』

自分の短冊を祈りを込めて「お願いします」とぶら下げて、再びユリはマラリヤを探し始める。
始めに考えていた数多くの願い事は消えていた。それなのに不思議とユリに後悔の念はない。それに今日はたった年に一度だけの特別な日だ。

「やっぱり、こういう日は楽しく過ごせた方がいいよね」

誰にともなくつぶやいて、ユリは気合いを入れるとさらにいろんなところへ駆け出していく。

「………………」

一方その頃、学園にある巨大な笹が見渡せる丘の上でマラリヤは一人たそがれていた。学園中がこういうイベントに騒ぎたてるのは別に構わない。
ただ、ユリがイベントにばかり目を向けていたのがなんとなく面白くなかっただけだ。

「…別に自分の生まれた日というだけよ」

願い事を書いた短冊を握りしめ、精一杯強がって、なんとはなしにため息をつく。
今ごろ、ユリはみんなと一緒に楽しんでいるだろうか?
そう思うとさらに悲しくなってきた。胸の奥が締め付けられてとても苦しくて、今すぐ消えてしまいたいくらいだ。

『ユリと一緒にいられるだけでいい』

結局ぶら下げることもなく、こうやって時がすぎるのをただひたすらと待っている。自分が臆病だということが分かっていても、このやるせない気持ちがもどかしい。

日が沈み、星が瞬き始めている。いつまでもこうしていても仕方ない。
そろそろ帰ろうかと腰を上げようとした時、大きな足音がザクザクと聞こえてきた。

「見つけたぁ!!」

後ろを振り返るとそこにユリがいる。信じられないという思いと、じんわりと湧いてくる温かな感情がマラリヤを大きく揺さぶっていた。

「…どうして、ここに?」
「ごめんっ!」

ユリがここに来たことを思わず尋ねてしまったが、答えるよりも先にユリが手を合わせて謝っている。訳が分からずマラリヤは黙りこみ、それに気づかずにユリはさらに続けてきた。

「本当にごめん!今日がマラリヤの誕生日だって知らなくて、わたしだけ浮かれちゃって……怒ってる?」

ユリがマラリヤのためにここに来たことに驚いて、マラリヤは一瞬目を丸くしてしまう。すぐにもとの表情に戻していこうとしたが、なぜだか唇が緩んで元に戻らない。

「…別に怒ってないわ」

とはいえ、悪い気はしないので笑みを浮かべたままマラリヤは答えていた。そして、この言葉に安心して、ユリはマラリヤの下へ歩み寄る。
すると、ユリはマラリヤの手を取ってニコッと笑いかけていた。あまりに自然な動作なものだから、マラリヤは不意を突かれたように顔を赤らめてしまう。

「よかったぁ。それにしても、マラリヤの誕生日に間に合ってよかったよ。」

しかし、ほっと一息を吐いたのもつかの間のことで、自分の発言に違和感があることに気がついた。

「しまった!なんの準備もしてないや!」

何も考えずに飛び出してきたものだから、当然のことながら何も用意出来ているはずもない。そうやって頭を抱えるユリにマラリヤも少々呆れ顔だ。

「…ところで、私を見つけて何をするつもりだったのかしら?」

こう言われてはユリは思いきり黙りこむしかなかった。マラリヤはそんなユリをじっと見つめて、なんとなく気まずい雰囲気が辺りを支配していく。

「…………………何も考えてなかった」

ポリポリと申し訳なさそうに頭をかくユリを見て、マラリヤはふふっと微笑んだ。ユリもまたつられるように笑いだし、緊張した空気を解きほぐしていく。

「…もう少しだけここにいていいかしら?」

ひとしきり笑い合った後、マラリヤはそう言うと適度な場所に座りこんだ。
すでに日は沈みかけており、星がちらほらと瞬き始めている。マラリヤが座ったのを見計らって、ユリはマラリヤのすぐ近くで腰を屈めていた。

「うん、隣いい?」

マラリヤは表情を緩め、ふんわりとした笑顔でうなずく。そんなマラリヤに見とれつつ、ユリも隣に腰を下ろしていた。

「そういえば、わたしの願い事叶ったよ」
「…奇遇ね、私も叶ったわ」

どこからともなく二人はそう言うとハッと顔を見合わせてしまう。お互い目を瞬かせながら思わず噴き出していた。
多分、二人の考えていることは同じなのだろう。しばらく二人で星を眺めていると、不意にユリがマラリヤの手を握ってくる。そして、まっすぐにマラリヤの瞳を見据えながら語りかけてきた。

「マラリヤ、誕生日おめでとう」
「…ありがとう」

マラリヤは微笑み伏し目がちに呟く。お互いに繋いだ手を意識したせいかほんのりと頬を紅く染めてしまった。
この後、二人は星空の下でたくさんたくさん語り合い、門限ぎりぎりになって慌てて寮に駆け込んだのは内緒の話。









終わり

 | HOME | 

プロフィール

ねむひ

Author:ねむひ
百合スキーな社会人やってます。


最新記事


最新コメント


最新トラックバック


月別アーカイブ


お品書き

二次系文章 (77)
正しい勉強の仕方?(QMA・ユリマラ) (6)
魔法学園へようこそ!(QMA・ギャグ) (4)
ルキアサンタがやってくる(QMA・ルキマラ) (8)
まらりやせいちょうにっし(QMA・シャロマラ) (4)
星に願いを(QMA・ユリマラ) (2)
星に願いを ふたつめ(QMA・ユリマラ) (3)
星に願いを みっつめ(QMA・ユリマラ) (3)
高村姉妹の休日(スズナリ) (5)
歌えない歌姫と不思議な感情(ボーカロイド・ミク、マスター、メイコ) (8)
恋する歌姫とネギ色リップ(ボーカロイド・ネギトロ) (5)
愛しき歌姫に捧げるコイノウタ(ボーカロイド・ネギトロ) (8)
恋しき歌姫に送るあいのうた(ボーカロイド・メイマス)※R-15閲覧注意 (6)
生まれた日に刻む幸せの鼓動(ボーカロイド・extra、ネギトロ) (5)
バレンタインにまごころを(ボーカロイド・extra、ネギトロ) (4)
キツネビトにまつわるとても優しいお話(ボーカロイド・extra、ネギトロ) (6)
創作系文章 (8)
森と月と不思議な人達 (8)
捧げ文 (10)
VOCALOIDとお留守番(ボーカロイド・メイコ、ミク、マスター) (4)
VOCALOIDと思い出話(ボーカロイド・メイマス) (6)
小ネタ(VOCALOIDとマスターさん) (8)
小ネタ(VOCALOID・extra) (10)
小ネタ(QMA) (0)
小ネタ(NOIR) (0)
小ネタ(その他) (0)
頂き物 (3)
お知らせ (3)

検索フォーム


RSSリンクの表示


リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


QRコード

QR

来訪者数


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。