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空と星と私達

≫正しい勉強の仕方?(QMA・ユリマラ)

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正しい勉強の仕方? (1/6)

「勉強を教えてほしい?」
「そうなの!今度のテストすごくヤバいんだ。お願いだから助けて!」

ある日の放課後のこと、青い髪を後ろに束ねた少女はそう言って哀願している。

「…テストまで、あと一週間しかないじゃない」

落ち着いた物腰で黒みがかった紫色の髪を腰まで伸ばした少女はあきれたように肩をすくめていた。

「今度のテスト、一つでも赤点とったら次の休み補習受けないといけないから!
お願いマラリヤ!一生のお願い。今度の薬草採取付き合うから勉強教えて!」

長い髪を後ろに束ねた少女が、マラリヤと呼んだ少女に必死になって懇願している。

「…仕方ないわね」

マラリヤがため息混じりにつぶやくと、仕方ないと自分の机から数々の参考書を引っ張り出してきた。
その言葉を聞いた青い髪の少女は今まで落ち込んでいたかのように見えた表情がみるみるうちに晴れ渡っていく。

「それじゃあ!?」
「…いいわ、教えるから。…そのかわり、約束は守ってもらうわよ。ユリ」

そう言われたユリと呼ばれた少女は嬉しさのあまりマラリヤの手を握り締めていた。

「本当!?それじゃ、しばらくマラリヤのとこに通うからお願いね!」
「…ええ、わかったわ」

いきなりのことでマラリヤは驚いてしまったが、ユリは気づかずにマラリヤの手をぶんぶんと振っている。
そして、マラリヤの返事を聞くや否や、ユリは大急ぎで自分の部屋に駆け出していった。

「マラリヤっ!ありがとう!」

あっという間に消えていったユリを見送り、マラリヤは呆れたようにため息を吐くとひとりごちていた。

「…大丈夫かしら?」

ただ、ユリがさっきまで握り締めていた温もりがマラリヤの手のひらに残っている。





「マラリヤ、お待たせっ!」

そして三十分後、さっきまでのユリとは違った姿に、マラリヤは呆気に取られたようにその姿に釘付けになっていた。

「…お待たせはいいけど、その荷物は?」

マラリヤはユリが背負ってきた大きな風呂敷包に驚いている。

「何って勉強道具に着替え一式。しばらく厄介になろうと思ってるから」

そう言って中からざくざくと勉強道具に参考書、教科書が姿を現して、その量の多さにマラリヤは目を丸くしていた。
そんな中、ユリはいたずらっ子のように頭の後ろを撫でながら、ごまかすように笑っている。
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正しい勉強の仕方? (2/6)

そして、ユリがさらりと宣言したことにマラリヤは未だに目を丸くしたまま驚きを表していた。

「…聞いてないわよ」
「ごめん!でも、マラリヤの邪魔にならないように頑張るから!」

そうは言うものの、泊まり込みになるとは予想しておらず、マラリヤは戸惑いを隠せない。

「…寮の管理人は大丈夫なのかしら?」
「それは大丈夫!勉強するためにマラリヤの寮に行くって言ったら、すんなり外出許可してくれたから」

ユリの根回しのよさに、思わずマラリヤも感心していた。
それならば、マラリヤも協力しない訳にいかない。

「…わかったわ、夕食を食べたら、早速始めましょうか」
「うん!」

まずは腹ごしらえと二人は食堂へと歩いていった。





そして、時は経ち二人が勉強を始めて一時間後…。

「ぶっちゃけわかんない…」

早くもユリの頭から煙が吹いているように見えた。

「マラリヤァ…もうギブ…無理!こんなの無理だから!」

訳が分からないと完全にユリの顔は蒼白になって音を上げている。
あまりに早すぎるギブアップにマラリヤは呆れた表情で一息吐いていた。

「…まだ、一時間しか経っていないわ」
「だって、わかんないものはわかんないだってば」

二人はお互いテーブルをはさんで向き合っていて、ユリの表情を覗き込むと、本気で頭を悩ましていることが見てとれた。
とはいえ、このままにしておくのもままならないので、マラリヤは助け船を出していく。

「…どこがわからないの?」
「えーと、ここ」

そう言ってユリが指差したのは数学の問題だった。
それには様々な図形が描かれており、その図形をヒントに解く問題のようだ。

「…よく見せて」

マラリヤはそう言うと、テーブルをまわりこんでユリの下へとやって来る。

「マラリヤ?」

ユリが少し驚きながらも、真剣な表情で問題を読んでいるマラリヤを見つめていた。
そんなユリの視線に気づかずに、マラリヤはゆっくりと顔を上げていく。

「…ユリ」
「はいっ」

なぜか緊張した面持ちでユリが返事をするが、なぜ動揺しているのかは当の本人も気づかない。

「…もしかして、問題文そのままに捉えていたのかしら?」
「はい?」

マラリヤの言っていることがよく分かってないのか、ユリは思わず聞き返していた。

正しい勉強の仕方? (3/6)

そんなユリの様子から、どうすれば上手く伝わっていくのかマラリヤは考えを巡らせていく。

「…数学は問題文そのままに捉えないで、簡単にすることを考えて。ほら、ここに補助線を引いたら…」
「あ…」

マラリヤが問題の図に直線を引いた途端、ユリの頭の中がすっきりと晴れ渡っていくみたいな感覚に陥っていた。

「…難しく考えないで。簡単にしてから問題を解くことが数学の基本なの」
「そうなんだ…」

感心したようにユリは頷いて、再び問題に向き合っていく。
マラリヤのアドバイスが効いたのか、ユリはゆっくりながらも着実に問題を解いていた。




…三時間後、夜もだいぶ深くなり外の世界も静まってきて、ようやくマラリヤは休もうと一息吐いた。

「…今日は終わるわ。…ユリも、もう休んで」

マラリヤの呼びかけに首を振り、なおもユリは机に向かって筆を動かしている。

「ううん、もう少しだけ頑張る。大丈夫だから、マラリヤは気にしないで休んで」

どうやら先ほどのことで調子が上がってきたらしく、ユリはもう少し続けるようだ。

「…無理は身体によくないわ。今日はもう休んで」
「大丈夫!あと三十分だけ頑張るから」

マラリヤの忠告も気にせずに、ユリにやめる気はないらしい。
何を言っても耳を貸さない雰囲気に、マラリヤは思わずため息を吐いていた。

「…仕方ないわ、ベッドは開けているから、終わらせたら休んで」

マラリヤがそう言った途端、ユリは驚きの表情で顔を上げて作業を中断してしまう。

「ちょ、ちょっと待ってよ!マラリヤはどうするの?」
「…別に、ソファーで眠るわ」

しれっと答えるマラリヤに、それを聞いたユリはさすがに焦らない訳にはいかなかった。

「そうはいかないよ。わたしが無理矢理押し掛けてきたんだから。
わたしこそ床で寝るからマラリヤはベッドで寝てよ」

ユリはマラリヤに勉強を教えてほしかっただけで、世話になりにきた訳ではない。
それなのにマラリヤにソファーで寝てもらうのは失礼な話だ。
しかし、マラリヤもまたユリと同じように譲る気はないらしい。

「…ユリは大切なお客様。床で眠らせるなんてとんでもないわ」
「むー、わかった。もう休むからさ、お願いだからマラリヤはベッドで休んで。あたしはソファーで休むから」

さすがにこの状況ではユリが折れるしかなく、マラリヤは楽しそうに微笑んでいた。

正しい勉強の仕方? (4/6)

そうして一日目は無事に過ぎていき、二日目、三日目と二人きりの勉強は続いていく。
そして四日目も眠る時間も近づいた頃、ユリは意を決したようにマラリヤに懇願していた。

「お願い、マラリヤ。今夜はほんの少しでいいから続けさせて」
「…どうして?」

マラリヤの目からすれば、八割方は問題ないだろうという見方である。

「まだ、大丈夫じゃないと思うの。せめて、安全圏に入るまで頑張らせて」

しかし、ユリにとって不安で仕方ないのか、何かをしていないと落ち着かないらしい。

「…無理はしないで」
「大丈夫、もう少し頑張ったら、すぐ休むから」

ユリのことが心配ではあるが、こうまで言われてしまってはマラリヤも首を縦に振ることしかできなくなってしまう。

「…わかったわ」

ただ、ユリが無理をするのを止めることができない自分がもどかしく、胸の辺りがとても苦しい。
そんなマラリヤの表情を察したのか、ユリは困ったように微笑んでおやすみを告げる。

「心配しなくても平気だから。それじゃおやすみマラリヤ」
「…おやすみ、ユリ」

マラリヤが寝室に入っていったのを確認すると、ユリは再び机に向き直り、勉強に励んでいた。



そして、テスト前日の夜。眠い顔に気合を入れて、ユリは最後の追い込みに入っていた。

「…ユリ、大丈夫?」
「だっ、大丈夫、大丈夫。さあ、最後の追い込みやるよ!」

しかし、見るからにユリはふらふらに見える。相当頑張ったのだろう、このままだと次の日に倒れてしまうかもしれない。

「…もう休んだら?」
「そうはいかないよ。なんとかなりそうだから頑張るよ」

そうは言うものの、ユリの可愛らしい顔は今は見る影もない。
仕方なく、一歩も譲ろうとしないユリに対しマラリヤはある決意をする。
決意をすると行動は早く、足早に薬草の保管室に向かっていった。



それから一時間後。息抜きにとマラリヤは温かい紅茶を差し出す。

「…一息ついて。たまには休まないと」
「ありがとう、マラリヤ」

マラリヤがしばらくの間いなくなっていたことを特に疑問に持つでもなく、ユリは差し出された紅茶を飲み干していく。
十分も経たないうちにユリの身体は崩れ落ち、そのまま深い眠りへと堕ちてしまった。

「…ユリ、ごめんなさい。そして、お疲れさま」

そう呟くマラリヤの表情は申し訳なさと安堵が入り交じっていた。

正しい勉強の仕方? (5/6)

次の日、ほんのりと淡い光が部屋に射し込み、静かな朝を迎えている。

「んー」

射し込む光に起こされて、寝ぼけ眼をこすりながら、ユリはゆっくりと目を覚ます。
普段と違った肌触りに違和感を覚えて、意識がだんだんとはっきりしていくのを自覚していた。

「あれ、ふかふかだ…?」

それもそのはずで、ユリは今、マラリヤのベッドにいる。

「なんで…?マラリヤのベッドにいるの…?」

まだ、頭の中はうっすらと寝ぼけながらも状況を整理していく。
しかし、まどろみの中、意識がはっきりとしないのか上手く思い出せない。

「そういえば…、あの後、頭がぼーっとして…」

なんとか思い出そうとしていたが、目の前の布団に人ひとり分の膨らみがあることに気が付いた。

「なにこれ…?」

ユリは不思議に思いながらも布団に手をかけていく。
そして、布団をゆっくりとずらした途端、ユリの目が一気に覚めた。

「…っ!マラリヤ!?」

ユリの目の前でマラリヤがすやすやと眠っていたのだ。
あまりの出来事にユリは頭の中が真っ白になり、思い切り狼狽えてしまった。

「えっ…、なんでマラリヤが?ていうか、どうして一緒に?」

未だにユリは混乱の最中にいたが、マラリヤの寝顔を間近でみた瞬間、ユリの心臓は高鳴っていた。

「それにしても、マラリヤってかわいいよね…」

自分でもわけの分からないことを呟いていると思いつつも、マラリヤを見つめてしまっている。
マラリヤの潤った唇に吸い寄せられそうになってしまったが、ふとあることに思い当たった。

「そういえば、紅茶を飲んだ後に眠くなって…ってまさか」

確か、マラリヤから紅茶をもらうまでのことははっきりと覚えている。その事から考えて、どうやら一服盛られたらしい。
ユリはあの時、確かに疲れていた。
だから、マラリヤは少しでも休ませようとここまでしてくれたのだろうという結論に達する。

「そっか、心配かけちゃったんだ」

寝たままの自分にあれやこれやされてないか―そう、寝顔をじっくりと見られていたりとか考えてしまい、ユリは気恥ずかしさで表情が赤く染まっていく。
そんなことをしているうちにマラリヤがゆっくりと目を開いてきた。

「…ん」

マラリヤが目を覚まそうとしているのを見て、ユリは慌てて距離をとってしまう。

正しい勉強の仕方? (6/6)

もっと堂々としていいはずなのに、どうしてこういう行動をとってしまったのかユリは分からない。

「…ユリ?」
「えーと、おはよう」

我ながら間の抜けた挨拶だと思ったが、胸に残る不思議な感覚にユリは戸惑っているばかりだ。

「…おはようユリ。よく眠れたかしら?」
「うん、ばっちり」

おまけに間近で見たマラリヤの寝顔のおかげで、ばっちりと目が覚めている。

「…どう?頭は冴えてきた?」

マラリヤから言われて、とりあえずユリは自分の額に手を当ててみた。

「んー、なんとなく頭が軽いような」
「…薬が効いたようね」

薬と聞いて、ユリは驚きを隠さないでいる。

「睡眠薬だけじゃなかったの?」
「…他にも朝起きたら、頭がすっきりするような薬も調合しておいたわ」

マラリヤの気遣いにユリも頭が下がるばかりで、ユリはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。
とはいえ、しょんぼりとした姿を見せるのもマラリヤに失礼な話だ。
だから、ユリは元気の良い態度で応えていった。

「うん、なんとかなりそうな気がしてきた!」
「…適度に眠れば、集中できるわ」

そんなユリの姿に安心したのか、マラリヤは穏やかに微笑んでいた。





テスト終了後のこと。二人は教室で向き合う形で和やかに談笑している。
その様子から、上手くいったことは想像に難くない。

「…うまくいったのかしら?」

とはいえ、やはり気になるのかマラリヤは問いかけてくる。
もちろん、ユリはマラリヤのおかげと言わんばかりに誇らしげに胸を張っていた。

「うん、それはもうばっちり!それもこれもマラリヤのおかげだよ。付き合ってくれてありがとね」
「…別に、構わないわ」

ぶっきらぼうに言いつつも、マラリヤは頬を染めて照れている。
そんなマラリヤが可愛く思えて、ユリは頬を緩ませているばかりだ。

「そうだ。お礼しないと。薬草採取手伝うよ」
「…そう、それなら今日の放課後からだけどお願いするわ」

早速であるが、マラリヤは注文をつけてくる。なんとなくユリは胸が高鳴ることを自覚していた。

「わかった。これからデートだね」
「…これから?それも悪くないわね」

マラリヤはゆっくりと微笑んでくる。その笑顔にユリは思わず満面の笑みで返していた。
そして、お互いにこの感情を心地よいと思うのも遠くない話である。









終わり

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