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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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小ネタ(VOCALOID・extra・クリスマスに幸福を届ける不思議なピアノ・ネギトロ)

巡音ルカは内心とても焦っていた。
12月24日、時間はもう23時を過ぎている。暗い夜道の中をカツカツとしたヒールの音が辺りに甲高く響き渡っていた。
一歩一歩が速い間隔なのは慌てていることに他ならない。
もちろん今日がこんなことになるという予定ではなかった。ミクと二人でささやかにクリスマスを祝おうということになっている。
多分、家ではミクがルカの帰りを待っているはずだ。この日のためにとお互いに予定を開けていたというのに、運命の神様があざ笑うような仕打ちに泣いてしまいそうだ。
一言でいえば運が悪かった。ある仕事が予定を大幅に遅れてしまったために今の今までずっと仕事に追われていた。
当然ながらルカに落ち度があるというわけでもないのだが、ルカは自分自身を責めてしまう。申し訳ないという気持ちで心が締め付けられたようでとても息苦しい。
急ぎ足で帰路に着く中、ルカの手には手荷物が一つ。この日のためにと用意したクリスマスケーキだ。
ミクと二人で街の中を歩いていた時に偶然見つけ、一目惚れだったか勢いで予約してしまった。
ピアノの形をしたクリスマスケーキ。ミクと一緒にかわいいかわいいと騒いで微笑み合っていたのが脳裏を過ぎる。

「ミク…」

その時のミクの笑顔が何度もよみがえってきては霧のように消え去っていく。
泣いているのか、怒っているのか、そんなミクを考えるだけでも気が滅入ってしまいそうだ。
そんな時間も自分の住んでいる建物が見えてきたところで終わりを告げる。幾重にも時が重なって感じられてしまったのはミクの笑顔のためにと願っていた時間が打ち消されたことによる絶望への表れであろうか。
マンションの一室に明かりが灯っている。ルカとミクの住んでいるところだ。

「…起きてたんだ」

ルカは誰にも聞こえることなくひとりごちて、その一室をじっと見つめていた。
まだ起きているということはルカのことをじっと待っているのだろう。その事実に気づいた時にはルカは駆け出していた。
ミクに怒られるかもしれない。泣かれてしまうかもしれない。しかし、それ以上にミクを悲しませるのは何よりもルカ自身が許せない。

「ただいま!ミク、ごめん!」

勢いよく玄関を開けて、ミクがいると思しき部屋―リビングに半ば飛び込むような形で入り込むとソファーの真ん中に一人でミクはうなだれていた。
いつもよりも小さく、弱々しく見えてしまうのは気のせいではないはずだ。
とにかく、ミクに元気を出してもらうなら思い切り怒られようと、気の済むまで泣いて吐き出してもらおうとかまわないと、ルカはミクの前に立つ。

「ミク、ホントごめん。せっかく約束してたのにこんな形で破っちゃって」

ルカはひたすらに頭を下げるが、謝られた本人に反応はなく、ピクリとも動かない。
何かしら反応があると思っていただけに、ルカにとってとても堪えた。せめて何かしら罵倒されてた方がまだマシだ。
ショックでミクの膝の上に崩れ落ちて、思わず塞ぎ込んでしまう。

「ごめん、ごめんねミク」

その日、何度つぶやいたかわからない、愛しき人の名前を、ついには嗚咽混じりで声に出せば、不意に上の方から声がかかってきた。

「…ルカ?」

涙で顔をくしゃくしゃにしているにもかかわらず、ルカはハッと顔を上げる。涙で濡れた表情はみっともなかったかもしれないが、それでも愛しき人の声には反応せずにはいられなかった。

「…ミク!」

先ほどまでの悲しみを振り払うかのように、勢いよく顔を上げたルカの瞳に飛び込んできたのは、寝ぼけ眼を擦りつつ、大きく伸びをしているミクの姿であった。
どうやら今まで静かに眠っていたらしい。さっきまでの自分が見事な間での独り相撲ということに気が付いて、ルカは顔に血が昇っていったのを自覚していた。

「ルカ?顔がものすごく赤いよ?」
「…なんでもない。なんでもないから。それよりもミク、遅くなってごめん」
「え?」

上手く事態が呑み込めないらしく、ミクはきょとんとしている。とはいえ、時計に視線を伸ばしたところで慌てふためき立ち上がっていた。

「もうこんな時間!?」

ようやくルカが謝ってきたわけを理解して、ミクはふと視線を落とす。
そこには、罪悪感で今にも押し潰されそうなルカが目に涙を溜めていた。もしかしたら許してもらえるまで、ずっと謝り倒しかねない勢いだ。
と同時に、テーブルに置かれた包みに気が付く。形からして例のクリスマスケーキなのだろう。
そうなれば、ミクのやるべきことは一つだ。

「ルカ、顔を上げてよ。料理冷めちゃったけど、ルカがこんなんじゃ一緒に祝えないじゃないよ」
「…いいの、ミク?」
「いいもなにもルカは約束を覚えてくれたんでしょ?だったら今からでも遅くはないよ」

そう言って見せてくれたミクの笑顔はあの時と全く変わらない。
怒られたり、泣かれたりすることを覚悟していただけに、この笑顔はまさしく不意打ちであった。
そのまますがるように抱き着いて、ルカは顔を押し付ける。さっきまでの不安で押しつぶされそうなのと、今ルカの胸の内から溢れんばかりの喜びが入り混じった表情はなんとなくミクに見せたくはなかった。
普段はあまりルカに甘えてもらうこともないため、ミクはなんだか新鮮でこそばゆい気分だ。ルカが可愛くて仕方ない。

「ルカ、そろそろいい?」
「そうね、心配かけてごめん」

一瞬の間をおいて、「そしてありがとう」と消え入りそうな声がミクに届く。ミクにとってはまんざらでもなさそうで、終始ご機嫌で料理を次々と温めていた。
そして、遅ればせながらも美味しそうな料理がテーブルに並べられていく。
最後にピアノの形をしたクリスマスケーキを数々の料理の中心において、二人はソファーに身体を埋めていた。

「やっぱりすごくかわいい!なんか食べるのもったいないね!」
「そんなこと言っても、そんな顔じゃ説得力に欠けるわ」
「ルカってばひどい!」

確かに子供のように瞳を輝かせて、今にも齧り付きそうな表情をしてればルカの言葉も納得できるであろう。
不満そうにルカを睨み付けるミクにクスクスと微笑み、ルカはシャンメリーをそれぞれのグラスに注いでいく。

「しかし、こう夜遅くだとサンタクロースも悪い子扱いして、来てくれないかもしれないわね」
「あー、うん。でも、ルカと一緒にいられるならサンタさんには諦めてもらおう」
「えっ」

半ば冗談のつもりで言ってみたが、ミクの意外な返答にルカの鼓動が不意に高鳴る。
どういう意味なのだろうと聞いてみようと思えば、すでにミクがこちらに顔を近づけてきていた。
気が付いた時には唇と唇が軽く触れあい、ルカは目を丸くしてしまう。
事態を理解した瞬間、血が沸騰してしまいそうなくらい心臓がバクバク鳴り出してしまうのを自覚する。

「えへへ、メリークリスマス」

悪戯っ子のようなミクの笑顔は嬉しいやら恥ずかしいやら悔しいやらでとても複雑だ。
叫びたい気分ではあったが、そんなことをすればミクの思うつぼのような気がしてならない。

「ああ、もう、メリークリスマス」

赤ら顔でやけくそ気味に言い放って、ミクとルカはグラスを重ね合わせる。
甲高い小気味のいい音がリビングの響き渡り、二人のクリスマスを祝う合図となる。
その日にあったつらい出来事を忘れるくらい、楽しいおしゃべりの時間が始まっていた。
お互いの温もりが伝わる距離で二人寄り添って過ごすクリスマスは二人にとって安らぎの時間となり、自然と表情も緩くなっていく。

「そうだ、後でケーキ食べさせっこしようよ」
「そんなこと言って、私がずっとケーキを食べさせることになるんじゃないの?」
「そんなことないもん!わたしだってルカに食べさせてあげたいんだから!」
「こんな風に?」

言うやいなや、ルカはいつの間にかミクの唇を奪っていた。お返しといわんばかりにミクの柔らかい唇を堪能する。ちょうどよく反撃ができて、ルカはなんだかすっきりした気分だ。
一方で、まさか反撃を受けるとは思っていなかったらしく、ミクは耳まで顔を真っ赤にしていた。

「私を甘く見ているからよ」
「ルカのいじわる!」
「あら、この口が言っているのかしら?」

いつの間にやらじゃれ合いが始まり、リビングを和んだ空気が包む。
軽いケンカは二人にとって愛情の一種のようなものだ。数分程度ですぐに治まり、再びいつもの時間の流れに戻っていく。
そんなときに、ミクは先ほどのやり取りが気になっていた。当然ながら、意識するなという方が無理な話なのかもしれない。

「ところでルカ、ルカをあんなふうにしちゃってもいいの?」
「さあね、ミクの好きなようにすれば?」
「…やっぱりルカはいじわるだ」

拗ねたミクの表情で、急におかしさがこみ上げてきて、ルカの笑い声が部屋を覆い尽くしていた。つられてミクの笑い声も重なっていく。
結局のところ、騒ぎはまだまだ続くようだ。意識してないと言えばウソになるが、楽しみは最後まで取っておくのも悪くない。
二人の視線の先のピアノのクリスマスケーキは不思議と二人に幸せを届けているようだった。






ミクさんのピアノのクリスマスケーキで何か書いてみようと思っていたらこんなのが出来上がってました。
書いてる本人が何書いてるのか一番わかっていないという。
二人のこの後の出来事はご想像にお任せします。
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12/12/24UPしました

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