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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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星に願いを (2/2)

「マラリヤどこにいるんだろう?」

空いてる時間を使って探してはいるもののなかなか見つからない。授業にも顔を出さず、不安は募っていくばかりだ。
そして放課後を迎え、気がつけば校庭にある巨大な笹の前に立っていた。

「すごい…、いろいろな願いが書いてある…」

見てみると、すでに笹には無数の短冊がぶら下げられている。ユリは自分の短冊を取り出すとまじまじと眺めていく。

『マラリヤと一緒に誕生日を祝うことができますように』

自分の短冊を祈りを込めて「お願いします」とぶら下げて、再びユリはマラリヤを探し始める。
始めに考えていた数多くの願い事は消えていた。それなのに不思議とユリに後悔の念はない。それに今日はたった年に一度だけの特別な日だ。

「やっぱり、こういう日は楽しく過ごせた方がいいよね」

誰にともなくつぶやいて、ユリは気合いを入れるとさらにいろんなところへ駆け出していく。

「………………」

一方その頃、学園にある巨大な笹が見渡せる丘の上でマラリヤは一人たそがれていた。学園中がこういうイベントに騒ぎたてるのは別に構わない。
ただ、ユリがイベントにばかり目を向けていたのがなんとなく面白くなかっただけだ。

「…別に自分の生まれた日というだけよ」

願い事を書いた短冊を握りしめ、精一杯強がって、なんとはなしにため息をつく。
今ごろ、ユリはみんなと一緒に楽しんでいるだろうか?
そう思うとさらに悲しくなってきた。胸の奥が締め付けられてとても苦しくて、今すぐ消えてしまいたいくらいだ。

『ユリと一緒にいられるだけでいい』

結局ぶら下げることもなく、こうやって時がすぎるのをただひたすらと待っている。自分が臆病だということが分かっていても、このやるせない気持ちがもどかしい。

日が沈み、星が瞬き始めている。いつまでもこうしていても仕方ない。
そろそろ帰ろうかと腰を上げようとした時、大きな足音がザクザクと聞こえてきた。

「見つけたぁ!!」

後ろを振り返るとそこにユリがいる。信じられないという思いと、じんわりと湧いてくる温かな感情がマラリヤを大きく揺さぶっていた。

「…どうして、ここに?」
「ごめんっ!」

ユリがここに来たことを思わず尋ねてしまったが、答えるよりも先にユリが手を合わせて謝っている。訳が分からずマラリヤは黙りこみ、それに気づかずにユリはさらに続けてきた。

「本当にごめん!今日がマラリヤの誕生日だって知らなくて、わたしだけ浮かれちゃって……怒ってる?」

ユリがマラリヤのためにここに来たことに驚いて、マラリヤは一瞬目を丸くしてしまう。すぐにもとの表情に戻していこうとしたが、なぜだか唇が緩んで元に戻らない。

「…別に怒ってないわ」

とはいえ、悪い気はしないので笑みを浮かべたままマラリヤは答えていた。そして、この言葉に安心して、ユリはマラリヤの下へ歩み寄る。
すると、ユリはマラリヤの手を取ってニコッと笑いかけていた。あまりに自然な動作なものだから、マラリヤは不意を突かれたように顔を赤らめてしまう。

「よかったぁ。それにしても、マラリヤの誕生日に間に合ってよかったよ。」

しかし、ほっと一息を吐いたのもつかの間のことで、自分の発言に違和感があることに気がついた。

「しまった!なんの準備もしてないや!」

何も考えずに飛び出してきたものだから、当然のことながら何も用意出来ているはずもない。そうやって頭を抱えるユリにマラリヤも少々呆れ顔だ。

「…ところで、私を見つけて何をするつもりだったのかしら?」

こう言われてはユリは思いきり黙りこむしかなかった。マラリヤはそんなユリをじっと見つめて、なんとなく気まずい雰囲気が辺りを支配していく。

「…………………何も考えてなかった」

ポリポリと申し訳なさそうに頭をかくユリを見て、マラリヤはふふっと微笑んだ。ユリもまたつられるように笑いだし、緊張した空気を解きほぐしていく。

「…もう少しだけここにいていいかしら?」

ひとしきり笑い合った後、マラリヤはそう言うと適度な場所に座りこんだ。
すでに日は沈みかけており、星がちらほらと瞬き始めている。マラリヤが座ったのを見計らって、ユリはマラリヤのすぐ近くで腰を屈めていた。

「うん、隣いい?」

マラリヤは表情を緩め、ふんわりとした笑顔でうなずく。そんなマラリヤに見とれつつ、ユリも隣に腰を下ろしていた。

「そういえば、わたしの願い事叶ったよ」
「…奇遇ね、私も叶ったわ」

どこからともなく二人はそう言うとハッと顔を見合わせてしまう。お互い目を瞬かせながら思わず噴き出していた。
多分、二人の考えていることは同じなのだろう。しばらく二人で星を眺めていると、不意にユリがマラリヤの手を握ってくる。そして、まっすぐにマラリヤの瞳を見据えながら語りかけてきた。

「マラリヤ、誕生日おめでとう」
「…ありがとう」

マラリヤは微笑み伏し目がちに呟く。お互いに繋いだ手を意識したせいかほんのりと頬を紅く染めてしまった。
この後、二人は星空の下でたくさんたくさん語り合い、門限ぎりぎりになって慌てて寮に駆け込んだのは内緒の話。









終わり
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08/07/07UP
11/06/18加筆修正

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