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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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星に願いを (1/2)

七月七日。

織姫と彦星がたった年に一度だけ会えることの出来る日。その時、短冊に願いを書いて笹に吊すというおまじないがあるという。





「マラリヤなら何を願うの?」

学園内ではどういう願いをするのかという話で持ちきりになっている。ユリもその内の一人でマラリヤの願い事が気になっていた。

「…別に、特にないわね」

しかし、マラリヤは興味もなくしれっと答えるばかりである。それどころか、虫の居所が悪いのか声色に不機嫌さが隠せていない。

「え~!どうせならダメ元でお願いをしてもいいじゃん」

そんなマラリヤの様子に気づかずにユリが騒ぎたてるが、マラリヤは一向に動じない。

「…別に、今さら喜ぶようなことでもないわ」

誰にも聞こえないようにつぶやいてマラリヤは去っていく。その悲しみを帯びた表情にユリ気付いていなかった。

「………マラリヤ?」

何か悪いことしたかな?と思うもののさっぱりわからないので、ユリはそのまま見送ることしかできない。

「さてと…、何をお願いしようかな~?」

いつまでも気にしていても仕方がないと、ユリは気をとりなおして短冊に何を書こうか考えることにした。

「う~ん、いっぱいありすぎて迷うなぁ」

学園の校庭にはこの日のために、大きな笹が用意してある。もうすでに、何人かの生徒が願いを書いた短冊を吊し始めていた。まだ笹の飾り付けはまばらであるが、放課後になれば飾り付けで埋もれてしまうくらいにはなるだろう。

「……は、……リヤ…んの………でした……」

そんな中、願い事を何にするか迷っているうちにどこからともなく声が風にのってくる。途絶え途絶えながらもなんとなく引っかかって、ユリは自ずと耳を傾けていた。

(なんだろ?)

少し気になって耳をすましていると、だんだんと声が鮮明に聞こえてくる。やがて、足音混じりにはっきりと聞き取れるようになってきた。どうやら話しているのは二人らしい。

「え~!そうなんだ。知らなかったよ」
「ええ、確か今日だったと思いますわ」

ルキアとシャロンの声だ。話の内容は分からないが、何かが引っかかってユリはつい聞き耳を立ててしまう。

「それじゃ放課後一緒にって誘ってみようか?」
「いいですわね、それ」

なにやら盛り上がっているらしいが、ユリには何のことかよくわからない。
分からないなら聞いてみよう。持ち前の行動力でユリは二人に話しかけていた。

「ねえねえ、二人とも何話してたの?」

二人の会話の合間を縫って、ユリは二人に呼びかける。ルキアもシャロンもちょうどいいとばかりにぱあっと表情を明るくしてきた。

「ちょうどいいところに来ましたわ」
「今日の放課後マラリヤを誘おうと思ってたんだ。ユリも一緒にどう?」
「ん、どういうこと?」

なんのことか分からずにユリは思わず二人に聞いてしまう。問われた二人はというと、二人とも意外そうな顔をしていた。

「あらユリさん、知りませんでしたの?」
「今日、マラリヤの誕生日だよ?」
「…………………」

ユリの中で血の気がサアッと引いていくのを自覚してしまう。あからさまに青ざめていくユリの表情をルキアもシャロンもはっきりと見ていた。

「………知らなかった」

ユリは自分の体温が一気に下がるのを自覚する。あまつさえ、そうとは知らずにマラリヤの前ではしゃいでいたのだ。ユリは目を覆って、空を見上げることしかできなかった。

「マラリヤになんて謝ろう…」

ユリの中にある罪悪感が胸を締め付ける。あまりにユリが落ち込んでしまったのを見かねて、ルキアとシャロンは慌ててフォローに入っていた。

「だ、大丈夫だよ!あたしも知らなかったんだから!」
「そ、そうですわよ!マラリヤさんはあまりそういうことをお話しになる方ではありませんし」

二人の慰めの言葉にも、ユリが立ち直る気配は一向に見られない。困ったようにルキアとシャロンは顔を見合わせてしまう。
これ以上は何も出来ることがないのがとても歯痒い。友人としてはなんとも言えない複雑な気分だ。

「マラリヤ…、傷ついちゃったかな…」

そんな二人の気持ちも露知らず、ユリは気持ちも上の空のまま、ふと朝の出来事を思い出す。
ひょっとしたらマラリヤは一緒に祝ってくれる人を探していたのかもしれない。そう思ったらいてもたってもいられずに、ユリは迷わず行動に移していた。

「ルキア!シャロン!教えてくれてありがとう!あとでなんかお礼するね!」

そう言い残すと、ユリは前を向いて一気に駆け出す。相変わらずの立ち直りの早さに、取り残された二人は呆気に取られていたが、すぐに気を取り直して声に出して笑っていた。

「いきましたわね…」
「あはは、ユリらしくていいんじゃない?」
「そうですわね。なんだかマラリヤさん誘えなくなったのは残念ですけど」

ユリを見送って二人は顔を見合わせる。残念と言った割には二人とも楽しそうで穏やか微笑み合っていた。
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