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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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星に願いを ふたつめ (3/3)

そして迎えた七夕の日、放課後になると、ユリは学園に飾られている笹に願い事を吊るして、マラリヤの下へと向かっていく。

『マラリヤと幸せな一日を過ごせますように』

たくさん書かれた願い事に混じって、ユリの書いた願い事はただ静かに風に揺られていた。

(そういえば、去年も願い事をしてからマラリヤを探しに行ったよね)

去年はマラリヤの誕生日を知らなかったことを思い出して、あの時は大慌てでマラリヤを探し回ったとユリは苦笑いを浮かべてしまう。

(マラリヤのことだけを考えて走り回っていたっけ)

今もマラリヤのことだけを考えて、走り回っていることが胸を熱くさせている。この胸の高鳴りが決して走り回っているだけじゃないと自覚して、ユリはマラリヤの部屋にたどり着いた。
着いたと同時に深呼吸をして、ユリはゆっくりと部屋のドアをノックする。

「マラリヤ、いるー?」

返事がくるまでの間に、さらに心拍数が上がっていくような感覚は決して気のせいではない。ユリはそんな心拍数の跳ね上がった心臓をどうにか落ち着かせようと再び深呼吸をする。後は返事がくるのをただじっと待っていた。

「…空いてるわよ」

ノックしてからきっかり三秒くらいだろうか。マラリヤの返事に、ユリは心を弾ませて部屋の中に入っていく。

「…いらっしゃい、ユリ」

マラリヤは穏やかな表情でユリを迎い入れてくれて、微笑みかけてくれる。マラリヤの笑顔にどぎまぎとしながらも、ユリはひとつ息を吸い込むと朗らかに笑ってマラリヤの手を取った。

「マラリヤ、お待たせ。えとね、マラリヤを連れていきたいところがあるんだけどいいかな?」

ユリの誘いにマラリヤは頷いて、繋いだその手をきゅっと握り締める。ユリから伝わる温もりがとても心地よい。
そして、ユリはマラリヤを連れて学園が見渡せる丘に向かっていた。





「…ユリ、ここは」

見覚えのある景色にマラリヤは辺りを見回して、それからユリを見つめていく。もちろん忘れることなんてない。マラリヤの中でちょうど一年前の楽しい出来事が蘇ってきた。不思議と心音のリズムが加速していく。

「うん、去年マラリヤと一緒に過ごしたところ。いろいろ考えてみたけどさ、やっぱりマラリヤと楽しく過ごせたらいいよねって思ったんだ」

ユリは学園中を見渡しながらそう告げていた。そして、ユリは振り返りマラリヤと向き合うとさらに言葉を続けていく。

「ホントは何かプレゼントしようと考えていたんだけど、そのためにマラリヤとの時間を無くしたら意味ないよねって思って…」

マラリヤは真剣な様子でユリの話に聞き入っている。それから、七夕の話をした時から毎日のようにユリが遊びに来ていたことを思い出していた。

「それでね、今日と明日を使って目一杯デートしよ?」

いきなり発せられたユリの言葉に、マラリヤは思わず目を丸くする。とりあえず聞き間違えがないか、マラリヤは告げられたことを反芻していた。

「…ユリ?」

ユリの口から出てきた『デート』という言葉はどうやら間違いではないらしい。マラリヤは頬を染めてしまい、そのままじっとユリの瞳を見つめていく。

「ほら、プレゼントはマラリヤに選んでもらいたいし、今日はマラリヤの好きなことをたくさん教えてほしいかなって」

赤く火照った表情でユリは鼻先を擦って、ついつい顔を反らしてしまう。その姿が可愛く思えて、マラリヤは自然と笑みをこぼしていた。

「…ええ。ユリ、ありがとう。とても嬉しいわ」

ふんわりと笑うマラリヤに見とれて、ユリはそのまま立ち尽くしている。どれくらい時間が経ったのか分からないけれど、なんとか我に帰って、ユリは星空がよく見渡せる丘に腰を下ろした。

「あ、うん。それじゃここに座って。今からたくさんおしゃべりしよっか?」

ユリの言葉にマラリヤは頷いて、ユリの隣に腰を下ろしていく。さりげなくユリが地面に置いた手に自分の手を重ねてユリの顔をそっと見ていた。

「…ユリ」
「マラリヤ、何?」
「…明日がすごく楽しみだわ」
「うん。わたしもすごく楽しみだよ」

二人はお互いに見つめ合うと、幸せそうに笑いだす。あとは星空に見守られながら、二人は明日のことやお互いのことを楽しそうにおしゃべりしていた。









そしてその頃、学園に飾られている大きな笹の下にて、ルキアとシャロンは出来上がった願い事をぶら下げていた。

「あっ、ユリの願い事見っけ」「本当ですわ。うまくいっているといいですわね」
「うん、そうだね…って、近くにマラリヤの願い事もあったよ」

ルキアの言葉にシャロンは歩み寄るとまじまじとマラリヤの願い事を覗き込む。

「なんだかんだ言って、結局二人はお似合いですのね」

多少呆れた口調で言っているものの、その表情は楽しそうで、隣にいるルキアもまた笑顔になっていた。

『ユリと幸せな一日を過ごせたらそれでいい』

なんとなくぶっきらぼうな願い事に二人は思いっきり笑ってしまう。そして、その願い事は近くにあるユリの願い事と共に風に揺られていた。









終わり
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09/07/07UP
11/06/21加筆修正

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