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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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VOCALOIDとお留守番 (2/4)

「そう、そこは力強くこねるように揉んで…」
「…こうですか?」

メイコに言われたようにミクは手に力を込めて、それを揉んでいく。慣れない手つきながら、ミクは一所懸命に力を込めていた。

「んっ、そうよ。ミク、なかなか上手ね」
「えへへ…、メイコさんに褒められちゃいました」

ミクの嬉しそうな表情に、メイコは穏やかに微笑んでミクの頭をそっと撫でている。メイコに褒められたことで、ミクの表情はますます緩んでいくばかりだ。

「これならマスターも喜ぶかもしれませんね」

揉みしだく手を緩めずに、ミクはマスターの喜ぶ顔を思い浮かべて作業を続けていく。真面目に頑張っているミクを見て、メイコは優しい眼差しで見守っていた。

「…ええ、そうね。マスターの喜ぶ顔が楽しみだわ」

ミクの頭から手を放して、メイコは実に楽しそうに笑っている。ミクの学習していく様子が楽しくて、メイコはついつい手取り足取り親切丁寧に教えていた。
…それから数時間後のこと。

「…それじゃ、出来た生地をレンジに入れればいいんですね?」

ミクはそう言うと冷蔵庫で寝かせていた生地を型に入れ、レンジの中に放り込む。そのままスイッチを押すと、レンジは静かに動き出した。

「これでよしと、後は焼き上がるのを待つだけね」

メイコの言葉にミクはコクコクと頷いて、焼き上がるのを楽しみに待っている。手始めにとメイコはミクにパンの作り方を教えていた。
こうやってパンを焼くことになったのは、始めは料理を作ろうと二人が好きなものを作ろうとしていた。
それはいいのだが、ミクのネギ丼とかメイコのアサリの酒蒸しなどのおつまみになってしまい、さすがにこれは偏りすぎだ。
そんなわけで、いくらなんでもいづるは喜ばないだろうと無難にパンを選んだということである。

「やっぱりメイコさんはすごいです。わたしの出来ないことがたくさん出来て、とてもうらやましいです」

ミクは目を輝かせてメイコを見つめてきていた。これにはメイコも狼狽えてしまう。
そのくらいミクの眼差しは純粋で真剣なものであった。

「そ、そんなことないわよ。私だってマスターにいろいろと教えてもらったわけだし」

そんなミクにあくまで謙遜するメイコだが、ミクの尊敬する眼差しは変わらない。むしろ、瞳の輝きは増していくばかりだ。

「そうなんですか?でも、メイコさんの教え方はすごく分かりやすかったですよ。おかげでパンをこねられましたし」

ミクの素直な感想にメイコは思わず戸惑ってしまう。正直のところ、まさかあんなアドバイスがここまで伝わるとはまったく思っていなかった。
そんなメイコに構わず、ミクはさらに言葉を続けてくる。

「マスターの胸を優しく包むように、そして包み込んだらゆっくりと揉みしだくみたいに力を入れてという表現はとても分かりやすかったです」

ミクの屈託のない純粋な表情に、メイコは内心冷や汗を垂らしていた。マスターであるいづるには変なことを教えるなと口を酸っぱくして言われたばかりである。

「さすがにマスターにばれたらどやされるかしら?」

いづるがこのことを知ったらどうなるだろうとメイコは想像する。
二時間説教されるのか、それとも一週間口を聞いてもらえないのか、考えるだけで恐ろしいものを感じるが、メイコに落ち込んだ様子は見られない。
むしろ、強気に唇を歪めているあたり、楽しんでいるように感じられた。

「メイコさん、ずいぶん楽しそうですね?」

そんなメイコの様子を見て、ミクは嬉しそうに尋ねてくる。メイコは勝気に笑って、とりあえず休憩がてらにビールを一缶開けると饒舌に語りはじめてきた。

「まあね、拗ねたマスターをどうやってなだめるか考えるだけで楽しいもの」
「…マスター、拗ねちゃうんですか?」

何のことだかさっぱり分からず、ミクは不思議そうに見つめてくる。いづるの拗ねている姿が想像出来ないのがなんだか歯痒い。
そうやって顔をしかめたりして、ころころと表情を変えていくミクの様子がおかしくて、メイコはからからと笑っていた。

「マスターはけっこう真面目すぎるところがあるからね」
「え…と、またなにかまずいことを覚えちゃいましたか?」

メイコの言いたいことをなんとなく察して、ミクはあわあわと口を広げている。

「平気よ。ああやって怒るのもマスターの愛嬌ですもの」

メイコはミクを落ち着かせようとふんわりと優しく微笑んでいた。その表情にミクは安心したのか頬を緩ませている。
そして、マスターのことをすらすらと話すメイコのことをうらやましい視線で見つめていた。

「なんかメイコさんがうらやましいです。わたしの知らないマスターをたくさん知っていて…、わたしはマスターのことをもっと知りたいです」

ミクの寂しげな表情にメイコは持っていたビールの缶を一気に空にする。そして、にんまりと悪戯っぽいを浮かべて笑いかけてきた。
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