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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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恋する歌姫とネギ色リップ (1/5)

一日も終わり、ルカは疲れた身体を癒すために自分の部屋へと向かう。途中、おやすみの挨拶をしようとリビングを覗こうとしたとき、それは聞こえてきた。

「そろそろミクの誕生日だったわよね?」
「そういえばそうでしたね」

誕生日という単語がルカの耳に飛び込んできた瞬間に、ドアに伸ばしていた手がぴたりと止まり、思わず耳を傾けてしまう。
中を覗いてみると、マスターであるいづるとメイコが晩酌をしていた。酒のせいかほんのりと赤く染まっており、とても上機嫌でお喋りに興じている。

「それでメイコはどうするつもり?」
「そうですね…、前々から気になってた髪留めがあったんでそれにしようかなと」

着々と話は進んでいるようでルカは内心焦っていた。知らなかったとはいえ、ミクの誕生日の用意は何もしていない。
こういうのは気持ちであると分かっていたが、それでもルカはミクに感謝の気持ちを伝えたいと願ったのは仕方のないことだろう。

「マスターはどうするつもりなんですか?」
「そうね。ケーキを焼いてみようかなって考えているわ。抹茶クリームを使って見た目ネギのように仕立ててみようかしら?」
「良いですね、それ」

とても朗らかな口調がルカの焦りをより一層に引き立てる。いけないことだと分かっていたが、ルカは聞き耳を立てて二人の様子を伺っていた。

「そういえばルカにこのことを話していたっけ?」

と、ここで自分の名前が出てきたことに内心どきりとしてしまう。噂をすればなんとやらというわけでは無いだろうが、ルカは身体が強張ったことを自覚していた。

「ああ、そういえば言っていませんでしたね。呼んできましょうか?」

ルカを呼びに行こうとメイコが立ち上がろうとしたところで、ルカはドアをゆっくりと開いていた。
ドアの軋む小さな音がルカに注目を集めていく。ルカが気が付いた時にはドアに手を掛けており、どうしてこんなことをしたのか今のルカには分からなかった。
ルカが姿を現したことにより、いづるは笑顔で声を掛けていく。

「あ、ルカ。ちょうどよかった。今度の休みにミクの誕生日の準備に出掛けてみようと思うんだけど、一緒に行かない?」
「…はい。それでマスター、お願いがあるんです」
「お願い…?」

『お願い』という言葉に首を傾げつつも真剣に耳を傾けるいづるとメイコ、自然と行動に移れることに驚きを隠せないルカ。
いつになく行動的なルカを見るのは初めてのことで、三人を少し張りつめた空気が包んでいた。

「…はい、ミクさんの誕生日は自分でお祝いしたいんです。だから、プレゼントとか自分で考えさせてもらってもいいですか?」

ルカはこうもすらすらと言葉を紡ぎ出せる自分自身に戸惑いを感じている。ミクのことで一心不乱になるのはいつものことであるが、いづるとメイコ相手にここまでの自己主張をしたのは記憶にない。
だから言い終えた瞬間、気恥ずかしさからか顔を真っ赤にしてしまっていた。ルカの心音は激しく高鳴っており、それを隠すようにルカはうつむいてしまう。とはいえ、ルカの頭の中でミクの笑顔が浮かんできては離れず、しばらく胸の高鳴りは治まりそうにない。

「…その、今言ったことは忘れてください」

さっきハキハキとした態度とはうってかわって、ルカは急に縮み込んでしまう。そんなルカをいづるとメイコは瞳をぱちくりと瞬かせながら見つめていた。
やがてお互いに顔を見合わせてルカと交互に見やる。そして、いつしか唇を機嫌よく吊り上げて二人はとびきりの笑顔を見せていた。
二人ともルカが成長してくれたのがとても嬉しいのだ。

「まったく、遠慮することなんてないわよ。ミクのために精一杯頑張りたいんでしょ?
だったら後悔しないように全力で行きなさい」
「ミクのことは私達で見てるから。ルカは思う存分楽しんできなさい」

二人から力強い声援をもらい、ルカは胸の奥からじんわりと温かい感情が込み上げてくる。

「…ありがとうございます」

ルカは嬉しさのあまり、丁寧に頭を下げていた。いづるとメイコはそんなルカに親指を立てて瞳を瞬かせる。
不思議と三人の間で小さな笑い声が部屋の中で響いていた。
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