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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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愛しき歌姫に捧げるコイノウタ (4/8)

それから一時間ほど過ぎただろうか。長いと思われた時間も終わってみれば呆気なく感じてしまう。
メイコの話を聞き終えて、今まで曇っていたのが嘘のようにミクの表情は清々しい。何か吹っ切れたように晴れ渡った表情はミクに活力を与えたことを物語っていた。

「メイコさん、ありがとうございます!」

ベッドに腰掛けていたミクは見上げるようにメイコを見つめ、いつもと変わらぬ笑顔を取り戻す。
…いや、初めて見せた笑顔の時以上に眩しく、不思議とメイコの胸の内から温かな感情が湧き出てきていた。

「そう?よかったわね」

とはいえ、メイコはあくまで見守るように微笑むだけで『がんばれ』とは言わない。すでにミクにはやることは定まっているし、口出しするだけで野暮というものだ。

「あとでゆっくりとのろけ話でも聞かせてもらうわ。いってらっしゃい」

だからメイコは自分に合った言葉でミクを送り出す。背中を押してもらえたことが嬉しくて、挨拶変わりにメイコに抱き付いていた。

「行ってきます!」

メイコからの応援と勇気と愛情を糧として、ミクは部屋を後にする。
一目散にいづるの部屋へと向かい、勢いそのままに中に入り込んでいた。

「どうしたのミク?」

どうやら作業中だったらしく、いづるに驚いた様子は見られない。
それどころか実に楽しげな笑顔を見せているあたり、まるでこういうことが起こるのを待っていたかのように落ち着いた様子で待ち受けていた。

「マスター、お願いがあるんです!」

しかし、そんないづるに動じることもなくミクは詰め寄ってくる。ずいっとキスしてしまいそうな距離にまで迫られてしまったが、いづるは怯んだ様子もなくミクに話を促していく。

「いいわよ。それで、お願いというのは何かしら?」

いづるに促されたまま、ミクはありとあらゆる想いをぶちまけていた。
ルカに対する想い。ルカに対して自分は何がしたいのか。とにかく思い付く限りの全てを晒し出していく。
そんなミクの話を真剣に受け止めて、いづるはうっすらと微笑みを浮かべていた。母親のような姉のような、そんな温かい笑顔でいづるはメイコと同じようにミクを抱き締める。

「分かったわ。出来る限り協力させてもらうわね」
「あ、ありがとうございます!」

嬉しくてぱあっと輝かせた笑顔で、ミクは何度も何度も頭を下げていた。そんなミクの態度に何を思ったのか、コツンとミクの額を叩く。

「マスター…?」

どうして叩かれたのか理解出来ず、ミクは額を押さえて不思議そうにいづるに視線を送っていた。
そんなミクの様子が可笑しかったのか、いづるはクスッと唇を歪ませてしまう。

「何度も言うようだけど、私は…メイコもだけど、貴女達の幸せを願っているの。ミクの伝えたいことは十分過ぎるほど伝わったから、あとは任せて。
最高の曲に仕上げてみせるわ。ルカに伝えられるといいわね」
「その…、ええと、…ありがとうございます」

照れた様子で視線を反らせて、ミクは少しだけ俯いていた。
こうしていづるの部屋にやってきたのはルカに捧げる曲を作ってもらうためである。
メイコの話を聞いて、いてもたってもいられずにここへとやってきていた。
ミクがこの家にやってきてからずっと一緒に暮らしているだけに、ミクが自分自身をはっきりと示してくれることがいづるもメイコも嬉しくて仕方ないのだろう。
ついつい世話を焼いてしまって一種の親バカ…いや、姉バカと化していた。

「すぐに取り掛かるから時間をちょうだい」
「ありがとうございます。マスター」

何度目か分からないお辞儀をして、ミクはいづるの部屋を後にする。扉をぱたんと閉めたところでミクは扉に身体を預け、大きく息を吐いていた。

「ルカさんに捧げる曲ですか…」

声に出した途端、ばくばくと高い心臓の音がミクを襲ってくる。今まで気付いていなかった緊張が一気に押し寄せてきて、腰が抜けそうなくらい身体に力が入らない。
思えば勢いとはいえ、過去の自分から想像出来ないくらいに激しい自己主張をしてしまったのだ。

「………ルカさん」

愛しい人の名前を呟いて、ようやくいつもの調子を取り戻したのか自分の部屋へと帰っていく。
ただ動悸だけは治まらず、これからずっと胸が締め付けられる日々が来ることに少しだけ不安を覚えていた。
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