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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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愛しき歌姫に捧げるコイノウタ (3/8)

朝食を終えた後もミクはもやもやを抱えたまま、縁側でひとり考え事をしていた。
夢の事、ルカの事、挙げてしまえばキリがないが、これまでにこんなことがなかった自分自身に驚いている。
ルカとはどんな関係なのだろう。少なくとも恋人のような関係だとは思っていた。口づけも交わしていたし、お互いに良好な関係なはずだ。
ただ、心がざわめいたことはこれまでにはなかったし、自分自身ルカにどうしたいのか、どうしてほしいのか分からない。
ぐちゃぐちゃになった頭の中でミクはどんよりと気分が重く、空は晴れ渡っているにもかかわらず、沈んだような空気を醸し出していた。

「ミク、どうしたのよ。元気ないわね?」

そんな中、鬱蒼とした空気を切り裂くかのようにメイコが声をかけてくる。

「メイコさん…」

今まで周りに気付いていなかったのか、ミクは慌てた様子で顔を上げていた。
いつもはからっとした笑顔で接しているが、ミクの表情を覗き込んだ途端にメイコはぎょっと神妙な顔付きになる。そして、そのままミクの手を取ると強引に引っ張っていた。

「……メイコさん!?」

不意を突かれたのと、抵抗する気力が無くなっていたということもあり、ミクはあっさりとメイコの部屋に連れられる。
ベッドの上に座らされたところで、おろおろとしていると呆れたようなため息がメイコから発せられていた。

「落ち着きなさい。せっかくの可愛い顔が台無しじゃないの」

鏡を突き付けられて、言われて初めてミクは瞳を真っ赤に腫らしていることに気が付いた。どうやら泣いてしまっていたらしい。
ごしごしと目を擦り、頭をぶんぶんと振り回して、それからようやく顔を上げる。先ほどまでの力のない眼差しは影を薄め、ミクの瞳には意志の強い光が灯されていた。

「ありがとうございます。メイコさん…」
「別に構わないわよ。ルカに見せるわけにもいかなかったし」

あっけらかんとした口調ではあったが、それが愛情からくるものだと分かっているからミクは安堵の表情を浮かべられる。
その様子に安心したのか、メイコはミクの隣に腰を下ろすとミクの頭を自分の胸に押し付けるように抱き締めてきた。
見上げた側から覗かせるメイコの姉のような母親のような優しい眼差しが、ミクを安心して身を預けさせる。

「それで、急にどうしたわけ?」
「………あのですね」

メイコに促され、ミクは夢の事からなにから語り出していた。吐き出すつもりで全てを語り、それをメイコは相槌を打ちながら真剣に耳を傾けていく。
全てを話し終えると憑き物が落ちたようにすっきりと表情が晴れ渡っていた。
そして、話を聞いていたメイコはというと、ミクの頭にぽんと手を置きながら機嫌良く肩を震わせている。まるで先ほどのいづると変わらない態度に、ミクは口を尖らせていた。

「うう、メイコさん。なんで笑うんですか」
「ああ、ごめんね。つい昔のことを思い出して、ね」

不機嫌に睨め付けてくるミクの視線も何のそのといった感じで、メイコは過去に想いを馳せる。
昔の自分達の姿が重なった気がして、とても満足げに微笑んでいた。そんなメイコに毒気を抜かれたのか、ミクはきょとんと目を瞬かせている。

「昔のこと…ですか?」
「ええ、そうよ。そういえば、マスターがわたしに送ってくれた時のことを話したことはなかったわね。聞きたい?」

そう言ってメイコはミクの瞳を真っ直ぐに見つめて返答を待っている。純粋な興味からミクは頷くとしっかりとメイコのことを見つめ返していた。

「すごく聞きたいです」
「分かったわ。少し長くなるわよ?」

そう言うと、メイコは穏やかな笑顔で昔話に花を咲かせていく。ミクは楽しそうに話すメイコを眺めながらじっくりと耳を傾けていた。
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