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空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

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愛しき歌姫に捧げるコイノウタ (2/8)

…チチチ。

小鳥のさえずりに起こされて、ミクはゆっくりと起き上がる。部屋には薄日が差し込まれており、ミクは動きの鈍い身体をじっくりと伸ばしていく。
目が覚めたところで薄らぼんやりと記憶の片隅に残ったものを思い出そうとミクは頭をひねることにした。

「夢…だったんでしょうか?」

ずいぶんと昔の話だ。研究室の無機質な生活から一転して、自分自身の存在意義を教えてもらったことを思い出す。
確かに研究室では何不自由なく過ごすことができた。しかし、そこはカゴの中。自由を奪われた小鳥のごとく歌うこと以外に選択肢は与えられず、ただのモノとして扱われていた。
今ではもう昔の影はなりを潜め、多少の不自由はあるものの初音ミクとして接してくれている。ただ一人の初音ミクとして愛されていることに充実感を覚えていた。
それはさておき、ミクは先ほどの夢のことを考える。とても懐かしい夢だった。どうしてこのような夢を見てしまったのだろうか。
とりあえず頭をひねってみたものの、答えは見つからない。仕方なくミクは再び身体を伸ばしてベッドから降りると寝巻きのまま部屋を出ていった。
リビングに行けばすでにミクのマスターであるいづるが朝食の準備をしており、手伝うためにエプロンを羽織っていく。

「おはようございますマスター!」
「おはよう、ミク」

笑顔で挨拶を交わして、ミクはいづるからサラダを受け取るとテーブルへと運ぶ。すでに朝食の用意はほぼ終えており、テーブルはシンプルではあったが彩られていた。
それぞれのマグカップからは食欲をそそるかのように湯気が立ち込めている。

「ありがとね、ミク」

あまり手伝ったという自覚はないのだが、面と向かって言われるとなんだかこそばゆい。
半ば照れ気味に視線を落として、それをごまかすようにミクはトーストを口にくわえた。
その様子にいづるは穏やかに笑い、自身も席に着いて朝食に手を伸ばす。メイコもルカもまだ姿を現していないが、たまにはこのような朝食も悪くないとゆったりとした時間を楽しんでいた。
穏やかな時間が過ぎていく中、ミクは今朝の夢が脳裏を過っていく。

「あの、マスター。聞いてほしいことがあるんです」

ちょうどいいかもしれない。ミクは今朝の夢のことを話していく。
初めは虚を突かれたように目を丸くしていたものの、次第にいづるの表情は夢で見た時と同じように和らいでいた。
どことなく嬉しそうにしているのは気のせいであろうか。

「あの、マスター聞いてますか?」
「聞いてるわよ。だからもっとミクの話を聞かせて?」

あまりに機嫌良さそうないづるの笑顔にミクはついつい戸惑ってしまうが、そのまま話を促されると一呼吸置いて再び口を開いていった。
その後も楽しそうにミクの話に耳を傾いて、のどかな時間が過ぎていく。そして、ミクの話を聞き終えたところでいづるはカップを飲み干して軽く一息吐いていた。

「ミクもいよいよそんなことを考えるようになっちゃったんだね」
「………?」

いづるが昔の自分に姿を重ね合わせて微笑んでいるが、そのことを知るよしもなくミクは気づかない。
ぱちくりと瞳を瞬かせたままのミクをじっと見つめて、いづるは席を立つとミクの下に歩み寄りそっと手を頭の上に乗せていく。
いづるの温かな眼差しと相まって、ミクは眩しそうに瞳を細めていた。

「ミク、もし伝えたい言葉が見つかったらいつでも相談に来なさい。私は全力で協力するから」
「は、はぁ…」

夢の理由を知りたかったのに、いづるにはぐらかされたような気がしてミクは狐に摘ままれたような顔をしている。
改めて問いただしてみようと思ってみたが、その時にルカとメイコが姿を現してきた。

「…おはようございます」
「おはようミク。マスター、おはようございます」

ルカの姿を見つけるなり、ミクは思わず口をつぐんでしまう。

「おはようメイコ、ルカ。朝ごはん冷めないうちに食べてね」
「…いただきます」
「いただきます!」

三人のやり取りを見ながら、ミクは自分が押し黙ったことに戸惑いを感じていた。
別に普段通りの他愛のない会話のはずだ。なのにルカの姿を見つけた途端に身体が強張ってしまう自分がいる。
どうしてだろう。ただ夢の話をするだけなのに、ルカの前では躊躇していることにミクは戸惑っていた。

「…おはようございます。ミクさん」
「おはようミク」
「………おはようございます。ルカさん、メイコさん」

結局、挨拶を交わすことが精一杯で、ミクはもやもやとしたまま冴えない表情でいる。
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