FC2ブログ

空と星と私達

本格的移転開始 1/30 小ネタ(VOCALOID・extra)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

生まれた日に刻む幸せの鼓動(5/5)

「…!」

そのことが認識できるまで、ルカの意識は真っ白になってしまう。
ミクの唇。ミクの吐息。ミクのとろけるような視線。ミクのすべてがルカを覆い尽くし、ルカの身体から力が抜けていた。
先ほどまでルカを支配していた穏やかな鼓動も、今や激流のように激しく高鳴っている。しばらくは動悸が収まるはずもなく、お互いを求め合っていた。
やがてお互いの姿を確かめるように身体を離して、ルカはゆっくりと起き上がる。ミクがにんまりと満面の笑みを浮かべているのを見て、かあっと赤らめた顔をする。恥ずかしさのあまり、思わず顔をそむけてしまっていた。
そんなルカの様子がとても可愛らしくミクは心からの笑顔を浮かべる。

「ルカ、お誕生日おめでとう」

今度は落ち着いた様子でミクはルカを見つめていた。ルカがちらっと視線を送れば、ミクは優しい眼差しを送っている。そのことがますますミクのことを意識させて、ゆでだこのように真っ赤な顔になってしまった。
未だに真っ白になっている頭の中で、ルカはなんとか言葉を紡ぎだそうと、とにかく思いついた言葉を放っていく。

「もしかして、これが誕生日プレゼントだったりするんですか?」
「ううん、私がルカにキスしたかっただけ」

プレゼントはちゃんと用意してあるよと脇に置いてあった小さな包みを取り出して、ミクは無邪気な笑顔でそれを差し出していた。赤と白のストライプに赤いリボン。『Dear ルカ』とメッセージカードを添えられている。
ルカの思いもよらぬ一言で返ってきたミクの意外な言葉はルカにさらなる衝撃を与えていた。今日という日が夢ではないかと頬をつねりたい気分である。

「開けていい?」
「もちろん」

ミクに促されてルカは一思いに包みの中身を開けると、中から一瓶のマニキュアを取り出した。ミクと同じ緑のマニキュア。ハッと顔をあげれば、ミクがふんわりと頬を緩めている。

「ルカに似合うかなって思って。たまにはわたしのことも思い浮かべてほしいな。…なんてね」
「あの、どうしてここまで…」
「まだ分からない?ルカって思った以上に鈍いんだね」

まだ混乱の解けてないのか、きょとんと目を丸くしているルカに、さすがのミクもクスッと笑い声をあげていた。そしてすぐさまルカへと顔を寄せていく。

「わかった。何度でも教えてあげる」

そう言うと、再びミクはルカに唇を重ねていた。今度は時間をかけずに、ただ触れるだけの優しいキス。すぐに見つめ合うことのできる距離まで離れて、ニカッとさっぱりとした笑顔になる。

「ルカが好き」

とてもシンプルなたった一つの言葉。それだけで、ルカの心はゆらゆらと揺れ動く。言葉通り何度も聞かせてほしいと願うのは、ルカにとってわがままなのだろうか。
まだ落ち着いていないのか、浅く、早い呼吸でルカは赤ら顔のままだ。ミクもまた血色がよく、程よく染まった頬を見せていた。

「ルカってばなかなか気づいてくれないからさ、今日頑張ってみようって思ったんだ。それでね、ルカの手、塗っていい?」

口早にまくし立てて、ミクはルカの手を取り問いかけてくる。ミクもまた心臓をばくばくとさせながら震えていた。もちろん、一世一代の告白を仕掛けておいて平気でいられるはずがない。
カタカタと震えるミクに気がついて、ルカはようやく落ち着きを取り戻す。どれだけ早く生まれていようと、どれだけ長く場数を踏もうと、目の前にいるのは自分と同じただの女の子だ。
そう思うと、急に肩の力が抜けてきた。余裕の生まれた表情でミクを真正面からとらえて、精一杯の笑顔を向ける。

「お願いね。ミク」
「うん!まかせてよ!」

ついさっきまで必死だったのがウソのようにいつもの調子に戻り、ミクはマニキュアの瓶を取るとルカの指先に丁寧に塗りこんでいく。
その様子をうっとりと眺めながら、ルカは言いたいことを口に出すべく大きく息を吸い込んでいた。ミクはもくもくとルカの詰めを塗りこんでいる。その姿はとても楽しそうで、見るだけでルカは幸せな気分だ。
最後の小指を塗り終えたところで、ルカは静かに口を開いていく。

「私もミクが好き」
「えへへ、ありがと」

顔をあげたミクはにへらといつになく幸せそうで、頬も緩みっぱなしだ。二人の心臓を流れていた激流も、今は静かで心地よい鼓動を奏でている。
お互いお揃いに飾った手を重ね合わせて、見つめ合うと、どちらともなく唇を重ねていた。ドキドキと最高潮まで高まったキスもいいけれど、こういう落ち着いた時の中での安らいだキスも悪くない。
二人は唇を重ねたまま、指を絡ませていく。きゅっと握られた手の温もりが伝える小さな鼓動は幸せな時を刻んでいた。

「改めてお誕生日おめでとう」
「ありがと、何度言われても嬉しいわね」

いったん唇を離して、二人はお互いにやさしい眼差しを向けている。時が経つのも忘れてしまいそうだ。時計を見ればすっかり日も暮れる時間を指していた。
耳を澄ませばメイコの指示する声が聞こえてくる。おそらく、ルカを祝う準備が佳境に来ているのだろう。

「もうすぐみたいだね。行こうか」
「ええ、それでねミク…」
「うん、わかってる。終わったらもう一回祝わせてね?」

ルカの言わんとすることを理解して、ミクは悪戯っぽい笑みを浮かべる。そのことが伝わったのか、ルカは顔を真っ赤に染めていた。
ミクは満足した様子でルカの手を握り、部屋を後にする。ルカはこれから起こる出来事にわくわくと逸る気持ちを抑えながら、ミクの後をついて行っていた。








終わり
スポンサーサイト

Comment

[18]

12/2/05UPしました

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://mistyemotion.blog102.fc2.com/tb.php/89-688bacb9

 | HOME | 

プロフィール

ねむひ

Author:ねむひ
百合スキーな社会人やってます。


最新記事


最新コメント


最新トラックバック


月別アーカイブ


お品書き

二次系文章 (77)
正しい勉強の仕方?(QMA・ユリマラ) (6)
魔法学園へようこそ!(QMA・ギャグ) (4)
ルキアサンタがやってくる(QMA・ルキマラ) (8)
まらりやせいちょうにっし(QMA・シャロマラ) (4)
星に願いを(QMA・ユリマラ) (2)
星に願いを ふたつめ(QMA・ユリマラ) (3)
星に願いを みっつめ(QMA・ユリマラ) (3)
高村姉妹の休日(スズナリ) (5)
歌えない歌姫と不思議な感情(ボーカロイド・ミク、マスター、メイコ) (8)
恋する歌姫とネギ色リップ(ボーカロイド・ネギトロ) (5)
愛しき歌姫に捧げるコイノウタ(ボーカロイド・ネギトロ) (8)
恋しき歌姫に送るあいのうた(ボーカロイド・メイマス)※R-15閲覧注意 (6)
生まれた日に刻む幸せの鼓動(ボーカロイド・extra、ネギトロ) (5)
バレンタインにまごころを(ボーカロイド・extra、ネギトロ) (4)
キツネビトにまつわるとても優しいお話(ボーカロイド・extra、ネギトロ) (6)
創作系文章 (8)
森と月と不思議な人達 (8)
捧げ文 (10)
VOCALOIDとお留守番(ボーカロイド・メイコ、ミク、マスター) (4)
VOCALOIDと思い出話(ボーカロイド・メイマス) (6)
小ネタ(VOCALOIDとマスターさん) (8)
小ネタ(VOCALOID・extra) (10)
小ネタ(QMA) (0)
小ネタ(NOIR) (0)
小ネタ(その他) (0)
頂き物 (3)
お知らせ (3)

検索フォーム


RSSリンクの表示


リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


QRコード

QR

来訪者数


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。